- 欢迎来到THBWiki!如果您是第一次来到这里,请点击右上角注册一个帐户
- 有任何意见、建议、求助、反馈都可以在 讨论板 提出
- THBWiki以专业性和准确性为目标,如果你发现了任何确定的错误或疏漏,可在登录后直接进行改正
东方儚月抄 ~ Cage in Lunatic Runagate./最终话/中日对照
跳到导航
跳到搜索
< | 第七话 | 东方儚月抄 | 后记 | > |
二つの望郷 | 两个望乡 |
いつもなら年老いた自称棋士達の社交場となっている往来に人だかりが出来ていた。仕事の休憩に往来に出てきた兎も、対戦相手を捕まえる事が出来ずに苛立っている。 | 如果是平时的话,这里是年迈的自称棋士们的社交场,往来人流如织。在工作的休息期间往来的兔子,现在找不到对战对手,显得有些焦躁。 |
「何事だいこの人だかりは。喧嘩だとしたら余り穏やかじゃないねぇ」 | “怎么回事,人山人海的。如果是吵架的话未免又太过温和了吧。” |
年老いた兎は人だかりに群がっていた兎に声を掛けた。いつもの碁仲間だ。 | 年老的兔子扬声向拥挤在兔群中的一只兔子问道。那是他平常的棋友。 |
「喧嘩? 違う違うそんなんじゃないよ。何でも見せたい物があるって話だ」 | “吵架?不是啦不是啦,不是那种事。听说好像要给我们看什么东西呢。” |
「大道芸かい? 若えもんがあんまり騒がしくしてると、綿月の姐さんにしょっ引かれても知らねえぞ?」 | “难道是耍把戏的?年轻人要是太吵闹的话,搞不好会把绵月的姐儿引来哦?。” |
綿月と言えば、千年近くも月の都の警備を任されている由緒正しい家である。元々戦闘に向かない月の兎達を訓練し、月の都を守ってきた者達だ。 | 说到绵月,就是指那个已经担任了近千年月之都的警卫的名门之家。她们是训练原本不适应战斗的月兔们,守卫月之都的人。 |
特に妹の綿月依姫は、神々の力をその身に宿し敵に合わせて柔軟に対応できる力を持っている。 | 尤其是妹妹绵月依姬,她拥有使神之力寄宿在其身体中灵活应对敌人的力量。 |
基本的には外敵から都を守る事を生業としているが、素行の悪い兎を連れて行き、兵士として教育する事もやっている。兎の殆どが兵士になる事を嫌がっており、兎達にとって綿月の屋敷はさながら再教育の場といったイメージであった。 | 虽然她们的基本工作是从外敌手中守护月之都,但也会做带走品行不端的兔子,将其作为士兵进行教育的事。当然,大部分兔子都讨厌成为士兵,对兔子们来说,绵月的家给人的印象和再教育的场所一样。 |
「いやそれが、綿月様ご本人が見せたい物があるってさ」 | “不,听说那是绵月大人本人想让我们看的东西呢。” |
「何だって? 綿月様が?」 | “你说什么?绵月大人?” |
人だかりをかき分け、好奇の目の向けられた対象を見た。兎ではない人間が何やら不思議な踊りを踊っている。その脇には綿月依姫と豊姫が立っていた。 | 这只老兔分开人群,看向被兔子们好奇的眼光所注视的对象。只见那里有个非兔子的人类在跳着奇妙的舞蹈。在其旁站着绵月依姬和丰姬。 |
「何でも、あそこで踊っているのが月に攻めてきた地上の人間だそうだ。謀反の噂の真犯人だって話だよ」 | “据说,在那里跳舞的好像是进攻月球的地上的人类。听说是谋反的流言的真正犯人呐。” |
謀反の噂とは、月の都の転覆を謀る者が居るという不穏な噂であった。 | 关于谋反的流言,是指有人蓄谋颠覆月之都的险恶的流言。 |
誰が流した噂なのか判らないが、噂が出始めた頃から身の回りで不思議な事が続いていた。 | 已经弄不清楚是谁传出来的流言了,但自从这流言一出现,周遭就持续发生了很多怪事。 |
まず、表の月に刺さっていた人間の旗が抜かれて、跡形もなく消えてしまった。これは、地上から何者かが侵入してやった事を表している。 | 首先,是插在月球表面的人类旗子被拔了出来,不知所终。这就表示从地上有谁侵入进来了。 |
そして、月に住む神々達が何者かに喚ばれ、使役されているとの事。これが出来るのは依姫くらいである。 | 并且,住在月亮上的神们也不知道被谁召唤并驱使了。而能做到这一点的只有依姬了。 |
それ以外にも綿月家が疑われるのには理由があった。 | 此外,绵月家受到怀疑还有其他理由。 |
綿月姉妹の役目は元々別の人間が行っていた。その者とは月の賢者とも呼ばれた八意様である。 | 绵月姐妹的工作其实原本是由他人负责。而那个人就是被称之为月之贤者的八意大人。 |
八意様はありとあらゆる薬を作る事が出来、信頼も厚かった。その八意様が月の都を裏切り、地上にお隠れになってしまったのである。 | 八意大人能做出所有的药,颇得众人信赖。而这样的八意大人居然背叛了月之都,到地上归隐了。 |
空席となった月の使者の座に急遽選ばれたのは、弟子である綿月姉妹であった。 | 被匆忙选任空缺的月之使者一职的,就是身为其弟子的绵月姐妹。 |
その綿月姉妹に命じられた最初の使命とは、八意様の捜索と連れ戻すことである。しかし、千年近く経った今もその使命は果たされていない。その理由は、表向きは八意様の罪が晴れていない事(月の都にとって地上は監獄である為、罪人は罪が晴れるまで地上に幽閉されるのである。つまり八意様は月に戻ってくる資格がまだ無いと見なしている)だが、本当のところは綿月姉妹が未だ八意様の事を信頼していて、自分の手で捕らえたくないのである。 | 绵月姐妹到任后收到的第一个命令,就是寻找八意大人并将她带回来。但是过了近千年后,直到现在,这个使命仍然没有达成。其中的理由,表面上是八意大人的罪还没有赎清(对于月之都而言,地上就是监狱,罪人在赎清罪恶前都会被幽闭在那里。也就是说八意大人还没有回归月之都的资格)。但实际上是绵月姐妹还信赖着八意大人,不愿意亲手逮捕她吧。 |
その地上の罪人との繋がりが原因なのか、綿月姉妹は余り月の都では信頼されていない。 | 也许就是因为与地上的罪人有着这样的关系吧,所以绵月姐妹在月之都并不是很受信赖。 |
地上から何者かが侵入してきた痕跡、それと不可解な神々の召喚。こういった出来事で綿月姉妹が疑われるのは当然であった。 | 现在地上出现了不知是谁侵入的痕迹,还有不可解释的神之召唤。因为这些事,绵月姐妹受到怀疑也是理所当然的。 |
「——さあ、このぐらいで良いでしょう。貴方が神々を召喚していた事が十分伝わったでしょうし」 | “——呐,这样应该就没事了吧。如此你就充分告诉大家关于神之召唤的事了。” |
依姫は群がる兎達の前で不思議な踊りを見せている霊夢に向かって言った。 | 依姬向着在兔群前跳着不可思议的舞蹈的灵梦这么说道。 |
霊夢は「こんなんで良いの?」と言うと、何故か兎達から拍手がわき起こる。さらに小銭が投げ込まれた。まるで正月のお賽銭のようだ。霊夢は微妙な面持ちで兎達に手を振る。 | 灵梦刚回问了句:“这样就没事了?”不知为何,免子们忽然拍起手来。然后纷纷向她抛撒小钱。就像是正月的赛钱一样。灵梦带着微妙的表情向兔子们挥了挥手。 |
「他にも廻る所が沢山ありますからね」 | “此外还有很多要去的地方呢。” |
「えー、他の場所でもこんな事をしないといけないの?」 | “诶ー,我还要在其他地方做这种事吗?” |
「貴方は私に文句を言える立場じゃありません」 | “你没有抱怨的立场吧。” |
「というか何か意味あるの? この踊り」 | “话说这究竟有什么意义?这舞蹈。” |
「貴方が神様を呼び出していたという事を判らせられればそれで良いのです。月の都では殺生は余り好まれないから貴方を気軽に罰する訳に行かないのです。それが終わったら地上に帰って貰いますから」 | “让别人知道是你召唤出了神明就好了。月之都不怎么喜欢杀生,所以不能对你随便处罚。结束之后你就可以回地面上了。” |
「ふーん。月の都じゃ踊って神を呼ぶのねー」 | “哼。在月之都跳舞就能召唤神明呢ー” |
霊夢は投げ込まれた小銭を拾いながら言った。気が付くと人だかりはまばらになっていた。依姫は霊夢に「お金なんて拾わなくても良いの」とたしなめ、手を引っ張った。 | 灵梦一边捡着地上的小钱一边说道。回过神来时,兔群已经逐渐散去了。依姬对灵梦教训道,“不用捡钱也没关系的。”然后强行拉住了灵梦的手。 |
「ああもう、何で私だけ月の都に残ってなきゃいけないのよ。みんなはお咎め無しで帰っていったのに、私だけ損をしている気がする」 | “啊啊真是的,为什么只有我非留在月之都不可啊。其他人都丝毫没受追究就回去了啊,总觉得只有我吃亏啊。” |
「お咎め無し? そうではありませんよ。地上に落ちる事、それが最大の罰なのですから」 | “没受追究?没这回事。落到地上就已经是最大的惩罚了。” |
「私からみれば帰るだけなのに」 | “在我看来,明明只是回去而已。” |
霊夢は口を尖らせて言った。 | 灵梦嘟起了嘴。 |
——大きな東洋の屋敷の円い窓から桃の木が見えている。 | ——从巨大的东洋房屋的窗子向外看去,能看到桃树。 |
窓にはガラスのような物ははめ込まれていない。開けっ放しの状態なのだが、虫が入ってきたりはしない。そもそも虫のような蒙昧な生き物は月の都には存在しないのか。それに気温も常に適温を保っている。 | 窗户上没有装玻璃类的东西。虽然就这么开着,但却没有虫子进入。还是说到底,像虫子这样蒙昧的生物在月之都根本不存在吗。就连温度也常保持着适温。 |
研究者は自分の研究に没頭し、存在しうる理想について論じ合う事も出来る。食に不自由することなく、死を恐れることなく永遠に研究が出来るのだ。 | 研究者能够埋头于自己的研究中,对可能存在的理想进行辩论。没有衣食的困扰,也不需要为死亡而恐惧,能够永永远远地从事研究。 |
月の都はなんて快適な所なのだろう。 | 月之都是多么舒适的地方啊。 |
ここに住んでいたら、地上が監獄に見えるのも当然かも知れない。 | 在此居住的话,将地上看作监狱也是当然的吧。 |
アンティークなテーブルに上品な料理が並んでいた。 | 古旧的桌子上摆放着高级料理。 |
テーブルには霊夢と、綿月姉妹が座っている。 | 桌边坐着灵梦与绵月姐妹。 |
霊夢は見たこともないような見事な料理を前にして、機嫌が良くなっているようだ。 | 灵梦面对着见都没见过的豪华料理,一脸兴高采烈的样子。 |
「さ、今日はお疲れ様」 | “好了,今天也辛苦了。” |
豊姫が労いの言葉をかけた。霊夢は早速料理に手を付ける。味は見た目ほどではないようだ。 | 丰姬说了慰劳的话。灵梦早立刻将手伸向了料理。不过似乎并不像外表看上去那么美味的样子。 |
「でさぁ、私はいつまで月の都に残っていればいいの?」 | “话说,我要在月之都留到什么时候啊?” |
「そうですねぇ。依姫の疑いが完全に晴れるまではいて貰わないと……ま、その間のんびりして」 | “是呢。在依姬的嫌疑完全洗清之前……嘛,在此期间就请悠闲点吧。” |
「何か調子狂うわねぇ。月の都ってもっと都会で忙しいところかと思ってたわ。もぐもぐ」 | “总觉得不对劲呢。我本以为月之都会不会是个更繁忙的都市呢。咕噜咕噜。” |
「口に物を入れたまま喋らない。これだから地上の人間は」 | “嘴里吃东西的时候别说话。就是因为如此地上的人类……” |
依姫が厳しく叱ると、霊夢は恥ずかしそうに黙って食べ物を飲み込んだ。 | 依姬严厉地斥责了之后,灵梦有些羞愧地默默吃着东西。 |
「で、貴方に残って貰ったのにはもう一つ理由があるの」 | “此外,留你在这里还有另一个理由。” |
「あん?」 | “诶?” |
よく見ると依姫は食事に手を付けていない。霊夢はそれを見て一瞬警戒したが、豊姫は同じ物を食べていたので安心した。 | 仔细看才发现依姬根本就没有在吃东西。灵梦一看顿时警惕起来,在看到丰姬和她吃着同样的食物后才放下心来。 |
「貴方が何故住吉三神を使役して月を目指すようになったのか。そのいきさつを教えて欲しい」 | “你为什么役使住吉三神来到月球上呢。希望你能告知其中的原委。” |
「ん? んー、そう言えば何でこんな事になっちゃったんだっけ?」 | 「嗯? 嗯—,说起来为什么会发展成这种情况?」 |
霊夢は箸を置いて月に至るまでの出来事を思い返した。 | 灵梦放下了筷子,回想着到月球为止所发生的事。 |
まず、月に行きたがっていたのはレミリアである。始まりは竹林に住んでいた月の民に出会った事だった。そこで月にある都に興味を持ち、自分でも月に行こうと考えたのだ。それから一年以上も月を目指すロケットを作成していたらしい。 | 首先,说想到月亮上来的是蕾米莉亚。一切的开始是她邂逅了住在竹林里的月之民,从而对月亮上的都市产生了兴趣,想要自己到月亮上看看。然后经过一年的时间,终于造出了可以登月的火箭。 |
霊夢はそれについて特に興味はなかった。どうせ月の都なんて行く事は出来っこないと思っていたからだ。だが、もし行けるのであれば話は別である。やはり一目見てみたいとも思っていた。 | 灵梦对此并没有什么兴趣。因为她认为无论如何也不可能前往月之都。但是,如果能去就是另外的话题了。果然她也希望能亲自去瞧瞧。 |
レミリアから何かと協力を求められる事も多かった。レミリアというか咲夜からだが、ロケットの材料となる物を求められた。 | 蕾米莉亚也请灵梦帮了不少忙。虽然说是蕾米莉亚倒不如说是咲夜,问她要制造火箭用的材料。 |
「ロケットの材料って訳の判らない物ばかりでねぇ。何か | “火箭材料什么尽是些我不知道的东西呢。拿着什么干鳖壳跳舞什么的。那样怎么想也不可能登上月球吧?吸血鬼说是活了五百年,脑子还是不灵光呢。” |
霊夢は調子に乗ってきた様子で二人に同意を求めた。 | 灵梦一副来劲了的样子向两人征求同意。 |
「地上と月を行き来するには様々な方法があります。まず、空間を移動して行き来する方法。貴方達みたいな地上の人間が乗るロケットや、月の兎が使う月の羽衣がこれに当たります。」 | “地上与月亮之间的往来方法有很多。首先是移动空间进行往来。像你们那样的地上的人类所乘坐的火箭,或是月兔所使用的月之羽衣就是这一类。” |
依姫の言葉が求めていた返答と異なり、霊夢は言葉に窮した。 | 依姬的话与灵梦所征求的回答截然不同,灵梦不由得有些词穷。 |
「月の民はそれとは異なり、地上と月の間の距離を縮めて扉を開けるように移動します。三途の川を隔てたこの世とあの世の様に、常に隣り合わせなのですよ」 | “月之民则与之不同,通过缩短地上与月球间的距离,好像打开门一样进行移动。看上去就像隔着三途川的此世与彼世一样,相互紧挨着。” |
「あの世……それはそれで遠いような気もするけど。でも死ねば一発だからやっぱり近いのかな」 | “那个世界……感觉那很遥远呢。不过死了的话也就是一下子的事,果然很近呐。” |
「月の民にとっては地上は監獄のような所。月の都の一部と考えていますから。行き来も意外と簡単なのですよ」 | “对于月之民来说,地上就是监狱般的地方。因为我们认为那是月之都的一部分。所以往来也是意外的简单。” |
「ふーん。でもさ、私達が居る幻想郷はちっちゃいけど地上はもっと何倍も大きいんだってよ? 月の都なんて幻想郷より小さい位じゃない。それを一部なんて傲慢じゃないの?」 | “哼。不过啊,虽然我们居住的幻想乡非常小,但地上更大得多哦?而月之都不是比幻想乡还要小吗。把地上当做自己的一部分是不是太傲慢了?” |
「大きさなんて問題の内には入りません。月の都の方が優れている、それだけで十分です。それで話を戻しますが、貴方達のロケットは空間を移動する方法と距離を縮める方法の両方を使っていましたね」 | “不是大小的问题。是月之都更为优秀,这就已经够了。好了我们转回正题,你们的火箭使用了空间移动与距离缩短两种方法。” |
そういえば、霊夢は月までの距離が想像してたより短く感じていた事を思い出した。 | 这么说的话,灵梦想起了她当初感觉到月球的距离比想象中短。 |
「それがどうしたっていうの?」 | “那是怎么回事?” |
「そんなロケット、地上の人間が作れるとは思いません。誰かの入れ知恵があったんじゃないかしら?」 | “那个火箭不能是地上的人类能制造的。应该是有人从旁指点了吧?” |
——ロケットの完成には幾つかの偶然があったと霊夢は言う。 | ——火箭的完成有几个偶然,灵梦说道。 |
まず、暫くなりを潜めていた吸血鬼のロケット計画が急激に動き出したこと。 | 首先,暂时悄无声息的吸血鬼的火箭计划急剧发展。 |
幽霊である妖夢がロケットの原動力を教えてくれたこと。 | 然后是身为幽灵的妖梦告诉了他们火箭的原动力。 |
そして、何故か霊夢が神々の力を身に付けられるように修行していたこと。 | 接着,不知为什么,灵梦为了能将神之力附在身上而开始修行。 |
これらが並列して同時期に起こったことで、吸血鬼のロケットは完成した。 | 这些事在同一时间发生,因此吸血鬼的火箭才得以完成。 |
これらは全て本当に偶然だったのだろうか? | 而这一切真的都是偶然吗? |
いや、偶然ではなかった事は誰の目にも明白であるだろう。全てある妖怪が裏で動いていた筈だ。 | 不,不管谁来看,这都非偶然。这些应该都是某个妖怪在暗地里推动的结果。 |
だとすると、月の都で流れた謀反の噂も、月の旗が抜かれたのも偶然ではないのだろう。 | 如果真是这样的话,那么月之都所流传的谋反流言,以及月之旗被拔掉也并非偶然了? |
「入れ知恵……? うーん、住吉三神の事を思いついたのは私だしー」 | “从旁指点……?嗯,想到住吉三神的是我ー” |
「では、その住吉三神をどうやって呼び出したのですか?」 | “那么,那个住吉三神要怎么样才能召唤呢?” |
「それは、たまたま神様の力を降ろす稽古を付けていて——あれ? なんでそんな稽古をしていたんだっけ?」 | “那个啊,偶然做让神之力降临的练习一哎呀?为什么做起了那样的练习呢?” |
依姫は地上の人間の曖昧模糊とした記憶に軽い苛立ちを覚えた。 | 依姬不禁对地上的人类那模糊的记忆感到有些焦躁。 |
「誰かに稽古を付けて貰ったとかじゃないですか?」 | “是不是有谁让你做练习呢?” |
「あ、ああ、そうだったわ。確かに紫が私に稽古を付けてたのよね。何故かは知らないけど」 | “啊,啊啊,对呢。确实是紫让我练习的呢。虽然我不知道为什么。” |
「紫、八雲紫ね」豊姫は会話に参加してきた。その名前を聞いて何か納得したようだ。 | “紫,是八云紫吧。”丰姬也加入了对话。似乎听到这个名字后理解了什么的样子。 |
「知ってるの? あの幻想郷一駄目な妖怪を」 | “你认识她吗?那个幻想乡最没用的妖怪。” |
「知ってるも何も、月の都に住んでいて知らない者はいないわ。地上にいて自由に月の都と行き来出来る厄介な妖怪ですから」 | “也不能说是认识不认识,应该说只要住在月之都的人,都没有不认识她的吧。毕竟是在地上能够自由来往于地上与月之都的麻烦妖怪呢。” |
「へぇ、有名なんだ。って自由に月の都と行き来出来るだって?」 | “诶,这么有名啊。你刚才说她能和月之都自由来往?” |
「ええ、それで昔に妖怪を引き連れ乗り込んできた事もありました。勿論、みんなコテンパンにしましたけどね」 | “没错,而且以前她还带着妖怪来过。当然,被我们打得落花流水了。” |
「いやさあ、じゃあロケットなんか作らなくても月の都に行けたんじゃん。何で紫は手伝ってくれなかったのかなぁ」 | “啊那个,也就是说即使不做火箭也可以到月之都吧。那为什么紫没有帮助我们呢。” |
豊姫は大きな甕から何やら魔法の液体を掬い、グラスについだ。それを出された霊夢は、一瞬警戒した。 | 丰姬从一个大瓮里舀出了一些魔法液体,倒进了玻璃杯里,然后递给了灵梦。灵梦立刻警惕起来。 |
「これは永遠の時間をかけて漬けたお酒です。地上では味わう事が出来ないお酒ですよ」 | “这是用永远的时间泡制的酒。是在地上尝不到的酒哦。” |
「毒とか入ってないよね」 | “里面没放毒吧。” |
「月では殺生は好まれないですから」そう言って、豊姫は霊夢に差し出したお酒を自分で飲み、代わりに自分のお酒を差し出した。 | “月球不喜欢杀生。”说着,丰姬自己喝了递出去的酒,然后将自己的酒递给了灵梦。 |
それを見て霊夢は警戒しつつも、お酒を手に取る。洗練され過ぎた香りは、地上で飲むと何か寂しく感じそうであった。 | 看到这一切的灵梦一边警戒着一边接过了酒。过度精炼的酒香,如果是在地上喝它的话,也许会让人不由得生起寂寞之感吧。 |
「貴方達は、紫にうまく操られていただけですよ」 | “你们似乎被紫操纵得很好呢。” |
依姫はそういった。 | 依姬这么说道。 |
「どういう事?」 | “什么意思?” |
「判らなければ別に良いのです。貴方達に悪気がない事が判りましたので……」 | “你不懂也好。我知道了你们没有恶意……” |
「さ、積もる話はその位にして今日は飲みましょう。明日もありますから」 | “好了,还有什么话就先暂时不提了吧,今天就好好喝酒。有什么事的话不是还有明天吗。” |
丸窓の外はすっかり暗くなっていた。 | 圆形窗外已经彻底暗了下去。 |
もう桃の木を視認することは出来ない。しかし、そこには見えてはいけない存在が見えていた。 | 桃树的身影都已经看不清了。但是,在那里却可以发现本不该被发现的存在。 |
月の都では決して存在せず、地上の人間なら多くの人が見たことのある存在。 | 那是在月之都绝对不可能存在,但在地上人中却有很多人见过的某种存在。 |
夜の神社、柳の下、かつては人が集った廃校跡、廃病院……。慣れた人なら昼間でも街中や自宅などで、そこかしこで見ることが出来るだろう。 | 夜晚的神社,柳树下,曾经人声鼎沸的废校遗迹,废医院……要是熟悉的人的话,即使在白天,也能在街道或者在自己的家里等各处地方看到。 |
亡霊である。 | 那是亡灵。 |
窓から覗く亡霊の姿に、綿月姉妹は気付く事が無かった。月の都には亡霊など存在しないからだろうか。 | 但是绵月姐妹完全没有注意到从窗边窥探的亡灵。也许是因为月之都不存在亡灵吧。 |
「幽々子様。何でここに霊夢がいるのでしょう?」 | “幽幽子大人,为什么灵梦会在这里?” |
妖夢は小声で話した。幽々子も何か考えているようだ。 | 妖梦小声地说道。而幽幽子则一副若有所思的样子。 |
窓の向こうに見える霊夢は、すっかり酔っぱらい豊姫と依姫に自分の武勇伝を語っている。 | 只见窗户另一端的灵梦,已经完全醉了,正在对依姬和丰姬大谈自己的英雄事迹。 |
依姫は地上の話に興味があるようで、食い入るように聞き入っていた。自分の師匠の話が出て来ることを期待しているのかも知れない。 | 依姬似乎对地上的事情很感兴趣,目不转睛地倾听着。也许是在期待着出现自己师父的故事吧。 |
「妖夢。羨ましいわね」 | “妖梦。好羡慕呢。” |
「え? 何の事ですか?」 | “诶?什么?” |
「うちでもあのぐらい豪勢な料理が出ればいいのに。毎日」 | “如果人家也能在家里吃到那么豪华的料理就好了。每天。” |
「いや、あんなには食べきれないです。それより霊夢の事ですが、何故この屋敷にいるのでしょう?」 | “不,那么多您不可能吃得完。比起那个,还是说灵梦的事,为什么她会在这个屋子里啊?” |
「遊びに来たんじゃないかしら?」 | “难道不是来玩的吗?” |
「まぁ、吸血鬼のロケットで来た事は知ってますが、一緒に乗っていた他の人達はどうなったのかとかそういう意味でして」 | “嘛,我知道她坐着吸血鬼的火箭来的事,不过一起来的其他人究竟怎么样了,我就是这个意思。” |
「私もずっと妖夢と一緒だったのに、そんな事判る筈が無いわ」 | “我一直和妖梦在一起,所以这种事当然也不知道。” |
「まあそうですが……。もしかして他の人達は捕まったのでしょうか」 | “这倒也是……。该不会,其他人都被抓了吧。” |
「どうみても霊夢が捕まった様に見えるけど」 | “而且无论怎么看,感觉灵梦也像是被抓到的样子呢。” |
「捕まったというか、接待されているようにも見えるんですけどねぇ」 | “我倒是觉得与其说是被抓,倒不如说是被款待了呢。” |
月の都に亡霊の姿など、誰が想像しただろう。 | 在月之都出现亡灵,这是谁想象好了的吧。 |
だが、秘密裏に行動するのにこれ程便利な組み合わせもなかった。 | 但是,对于秘密行动来说,像这么方便的组合实在是没有了。 |
亡霊は元々浄土に住む者である。つまりは生死に関わる穢れが少なく、その結果そこに居たという痕跡を残さずに行動出来たのだ。 | 亡灵原本是住在净土的人。也就是说,关乎生死的污秽非常少,所以就能丝毫不留痕迹地行动。 |
その事を知っている者は余りいない。かつて妖怪が月に攻め入った頃、偶然気付いた妖怪が居たくらいだ。 | 知道这件事的人并不多。曾经妖怪进攻月球的时候,才有妖怪偶然注意到这点。 |
その穢れの少ない亡霊が、ここの屋敷に居る事も偶然なのであろうか? | 而几乎不带任何污秽的亡灵,会出现在这里也只是偶然吗? |
いやこれも偶然ではなかった事は誰の目にも明白だ。ある妖怪——八雲紫が導いていたのである。 | 不,这绝非偶然,任谁都可以一目了然。这是某个妖怪——八云紫所一手导演的。 |
無事月の都に潜入した亡霊はどういう行動を取ったのか。 | 平安潜入月之都的亡灵采取了什么行动呢。 |
それが紫の計画の総仕上げとなるのだが、はたして。 | 那会对紫的计划的结果产生什么影响吗,究竟。 |
——幻想郷の境界に存在する神社。 | ——存在于幻想乡的境界的神社。 |
紅く染まった林は、彩度が失われ暗くなり、次第に白く染められている。その光景が白粉婆が白粉を塗りたくる行為に似ていたので、いつの間に雪白粉と呼ばれていた。 | 被染红的树林失去了色彩,变得暗淡下来。随后,又被染成了一片白色。这副景象就像是白粉婆在涂抹白粉似的,所以不知不觉,大家都将它叫作雪白粉了。 |
博麗神社は、長い間掃かれる事の無かった落ち葉の絨毯の上に、雪白粉でうっすらと白く化粧されていた。 | 博丽神社那长时间没有清扫的落叶所形成的地毯上,薄薄地覆盖了一层雪白粉,化了一个白妆。 |
住んでいる者が居なくなるだけで建物は一気に寂れるものである。こうして廃墟は自然に帰っていくのだろう。 | 只是因为没人住着,建筑物一下子就显得十分衰败。这样一来就会自然地回归了废墟状态。 |
そんな風化を拒むのか、落ち葉を踏み、僅かに乗っていただけの白粉を蹴散らす者が居た。 | 不知是不是想要抗拒这样的风化,有人踏着落叶,踢着薄薄的白粉而来。 |
「今日も来てないみたいだな」 | “今天好像也没来呢。” |
その者は冷たくなった賽銭箱の上に腰掛けた。 | 那个人在冷冰冰的赛钱箱上坐下。 |
「何で月の都の奴らは霊夢だけ地上に帰さなかったのか。今頃拷問でも受けてるのかも知れん」 | “为什么月之都的家伙单单不让灵梦回地上呢。搞不好她现在正在被拷问也说不定。” |
暫く誰も居ない境内を眺めていたが、流石に退屈だと思ったのかその者は神社を後にした。 | 看了会没有任何人的神社境内,似乎觉得的确太无聊了,那个人离开了神社。 |
黒い魔法使いの次は悪魔のメイド、風の天狗と、持ち回りで神社の留守を預かったかの様に誰かがやってくるが、肝心な主は戻ってこない。 | 黑魔法使之后是恶魔的女仆,风之天狗等,就像轮流看守神社一样,但不管谁来了,重要的主人却一直没有回来。 |
神社が留守の間に月に向かった吸血鬼達の興味は、既に別の方向を向いていた。月で見た海が忘れられず幻想郷にも海を作ると言い出したのだ。 | 在神社没人的期间,吸血鬼们原本对于月球的兴趣,已经转向了其他方向。她说道,因为忘不了在月球上见过的海,所以想在幻想乡也造出一个海来。 |
海とは塩化ナトリウムなどの塩分が溶け込んだ膨大な量の水を湛えた、言わば大きな湖である。地表の七割を覆う海水。そんな物をどうやって作るというのだろうか。幻想郷で岩塩が見つかった形跡はない。そんなに大量の塩なんていくら人間の血液を集めたって……いや、そんな塩分の問題ではないな。 | 其实海就是溶解了氯化钠等盐分的庞大数量的水,也可以说是大型的湖。地表七成都由海水覆盖。而这种东西要怎么做呢?幻想乡里连岩盐都找不到。要产生那么大量的盐,就算再怎么收集人类的血液……不,不是盐分的问题。 |
幻想郷で再現したい海は地球を形成した海でも、生物の母である海でもない。一人の妖怪の目に見えた青い景色。魚もバクテリアも何も棲んでいない静かな海なのだ。海水である必要すら無い。 | 她们想要在幻想乡再现的海既不是形成地球的海,也不是生物的母亲之海。只不过是一个妖怪眼中的蓝色景象罢了。没有鱼也没有细菌,什么都没有的静寂之海。实际上,连海水都没有存在的必要。 |
「そこの本をどかしてもう少し広くできない?」 | “能不能把那里的书清走再腾出一些地方来?” |
レミリア·スカーレットは自分の屋敷の地下に在る図書館に海を作り出そうとしていた。 | 蕾米莉亚·斯卡蕾特在自己家地下的图书馆里准备制造大海。 |
「もう、本を積む場所無いわ」図書館の主、パチュリー·ノーレッジは呆れた様子でそう言った。 | “真是的,已经没地方放书了呢。”帕秋莉·诺蕾姬一副嫌弃的表情说道。 |
「使ってない部屋に移動させておいてよ」 | “把书运到没用的房间去吧。” |
「えー。また分類し直さないといけないじゃん」 | “诶ー。那还必须重新分类呢。” |
図書館の本は片付けられ、床には大量の砂が運び入れられていた。 | 此时图书馆的书已经被整理好,地上运进了大量的沙粒。 |
海といってもなんて事は無い。ただの室内プールである。これを期間限定で作り出そうというのだ。 | 其实根本谈不上什么海,不过是个室内游泳池而已。而且造出来还是有时间限制的。 |
冬だというのに、何故水遊びをするスペースを作ろうとしているのだろうか。 | 不过明明是冬天,为什么还要做这么一个玩水的地方呢。 |
それは、吸血鬼なりのお礼のつもりらしい。彼女の希望通り月まで行く事が出来たのは、巫女の力のお陰である。本人が戻ってくるまでに海を作り、月から戻ってきたら誘おうと思っているのだ。 | 这也是吸血鬼所特有的回礼。因为她们能够如愿以偿地到达月亮上,都是多亏了巫女的帮忙。所以吸血鬼们准备在灵梦回来之前造一个海,等她回来以后邀请她过来玩。 |
幻想郷にはない海。それを用意する事で人間は喜んでくれる、そう考えたのだ。 | 在幻想乡中没有的海。准备了这个的话人类就会高兴,她是这样想的。 |
彼女が巫女が戻ってきた事を聞いたのは、それから数日後の事だった。 | 她听到巫女已经回来了,是自那以后过了数日的事了。 |
「——海に行く格好ってこんなのかな」 | “——去海边的话应该是这样的打扮吗。” |
約一ヶ月ぶりに月から生還した博麗霊夢は、吸血鬼から誘われて海に向かう準備をしていた。 | 约一个月后,终于从月亮上生还的灵梦收到吸血鬼们的邀请,开始做前往海边的准备。 |
「海ったって紅魔館の地下だぜ? ただの水遊びだと思うが」 | “虽说是海,不过是红魔馆的地下吧?我觉得应该就只是玩水罢了。” |
霊夢の問いかけに魔理沙は答える。いつものやりとりだ。誰かしら人はいても主だけが居なかった神社は、すっかり廃墟のようになっていたが、主が戻ってきただけですぐに日常を取り戻した。やはり神社には彼女が必要なのだ。 | 灵梦发问,魔理沙回答。1完全和往常一样的对话。神社里不管谁在,只要主人不在,就会完全变成废墟,然而只要主人回来,马上就会恢复日常。果然,对于神社而言,她是必需的。 |
「そもそもこんな寒いのに水遊びってねぇ。あーあ、月の都は暖かかったなぁ。まさかこんなに神社が冷えるなんて……」 | “话说明明这么冷,却玩水。啊ー啊,月之都好温暖的说。想不到神社竟然这么冷……” |
「人が住んでいないと建物は一気に冷えるらしいな。何だろう、何か人間が建物を暖める力を持っているのか」 | “没人住的话,建筑物好像会一口气冷下去呐。怎么说呢,总觉得人类拥有能够让建筑物温暖起来的力量吧。” |
「ふん。誰も居ない建物には幽霊が住み着くから冷えるのよ。あーあ、掃除もしないといけないし、すぐに正月の準備もしないと」と言いながらも霊夢は水遊びの準備を続ける。何だかんだ言ってまだ体が日常に馴染んでいないようだ。 | “哼。没人住的建筑物里因为有幽灵住,所以会变冷哦。啊ー啊,不得不做扫除了啊,还有,必须做正月的准备了。”灵梦一边说着,一边做玩水的准备。说来说去,就是她还没有完全适应日常状态。 |
「ところであいつら、月旅行を実現できた癖に海は作るんだな。地上の海の在る所まで何とか行く方法を考えたりしないのかねぇ」 | “话说回来,明明那些家伙连去月球旅行的愿望都实现了,却还要造海。怎么不想个到地上有海的地方去的方法呢。” |
「それはねぇ、海は、月より遠いから」 | “那是因为,海比月亮更遥远吧。” |
海は月より遠い。そんな事あるのだろうか。 | 海比月亮更遥远。有这种事情吗。 |
地上にすむ我々は、種子島宇宙センターだってケネディ宇宙センターだって海の上に浮かぶようにあるぞ、と突っ込んでいる所だろう。 | 对于住在地上的我们而言,无论是种子岛宇宙中心还是肯尼迪宇宙中心,都是让人吐槽像是浮在海上一样的地方。 |
だが地上の幻想郷には海はない。月まで行っても幻想郷の結界を越えようとしなかった妖怪に、自ら外に行こうなど考えつく筈もない。海が存在しないと言われているのなら作るしかない。幻想郷の妖怪達はそう考えるのだ。 | 但是地上的幻想乡里没有海。对于即使前往月球也不打算越过幻想乡结界的妖怪来说,不可能会想到自行到外面去。既然都说海不存在,那么就只能造了。幻想乡的妖怪们就是这么想的。 |
しかし流石に海を作るのに図書館は小さすぎた。 | 不过,对于造海来说,图书馆的确太小了。 |
地下の図書館は水浸しで、申し訳程度に置かれたシダ植物、カラフルなパラソル。真夏の太陽をイメージしたというのなら記憶力が足りなすぎるランプの灯り。そもそも、吸血鬼に太陽に似たものを作らせるのは無理があったが、それにしても暗くて寒い。 | 地下图书馆被水淹没了,敷衍了事地放了些羊齿植物,还有色彩鲜艳的太阳伞。还有似乎是模仿夏日阳光,却因为印象模糊而显得有些过度昏暗的灯光。说来,要吸血鬼来模拟太阳本来就是不可能的,不过即便如此也还是太暗太冷了吧。 |
吸血鬼はパラソルの下で日光浴をしているフリをしている。お友達の魔女はいつも通り本を読んでいた。 | 吸血鬼在太阳伞下做出在晒日光浴的模样。至于她们的朋友魔女则是和平常一样在看书。 |
「だから、今は冬だというのに水遊びはおかしいって!」 | “所以说,现在明明是冬天啊,玩水也太奇怪了吧!” |
霊夢が海から上がってきた。非常に寒そうである。どうやら水の温度は余り人に優しくないようだ。 | 灵梦从海里出来。似乎非常冷的样子。好像水的温度对人不怎么友好。 |
「——お嬢様。何か来客の様ですが」 | “——大小姐,好像有客人来了呢。” |
レミリアの近くにいたメイドがそういった。 | 蕾米莉亚旁边的女仆如此说道。 |
レミリアは面倒くさそうに首を振って「無視して良いよ」と言ったその時だった。空間が切れ、冷えた冬の海に生温かい風が吹き込んできたのは! | 蕾米莉亚一脸嫌麻烦的表情摇了摇头,说了句:“无视就好了。”就在此时,空间忽然被切开,向冷冷的冬之海里吹入了微暖的风! |
——人工的な砂浜の上に上品なシートが敷かれた。派手なパラソルと水着姿だけが浮いていた。 | ——人造沙滩上铺上了上等坐席。华丽的太阳伞以及泳装身影也随之现身。 |
空間の隙間から現われたのは幻想郷の妖怪、八雲紫とお酒だった。 | 空间缝隙中出现的是幻想乡的妖怪,八云紫以及酒。 |
紫の用件は宴会のお誘いだった。この妖怪から宴会の誘いがある時は、まず何かを企んでいると思って間違いない。 | 紫是来邀请她们参加宴会的。不过,从这个妖怪口中发出邀请的时候,首先得掂量一下是不是有什么企图。 |
しかし、いつもながらの強引な登場の仕方に有無を言わせずに宴会が始まることになった。 | 但是,和往常一样在强行登场后,紫不由分说地开始了宴会。 |
八雲紫は、自分の式神である藍と、友人である西行寺幽々子、その従者の魂魄妖夢を連れてきた。地下の砂浜は突如として大宴会の場となった。 | 八云紫带着自己的式神蓝,以及友人西行寺幽幽子和她随从的魂魄妖梦一起来了。地下的沙滩忽然变成了大宴会场地。 |
「へぇー。変わったお酒だねぇ」レミリアが純粋に驚いている。 | “诶,与众不同的酒呢。”蕾米莉亚单纯地惊叹道。 |
それを聞いて紫は「失礼ね。毒は入っていないわよ」と、とんちんかんな返答をしたが、霊夢と魔理沙は毒が入っているのか疑い、メイドが呑んだのを確認してから口を付ける事にした。 | 闻言,紫答非所问地回答道:“真失礼呢。没有下毒哦。”但是灵梦和魔理沙还是怀疑酒中有毒,在确认女仆喝下了之后才送入口中。 |
「あれ? この味は何処かで……」霊夢は少し引っかかる所があったが、それが何なのか思い出せない。何故か幽々子が霊夢を見ている。 | “哎呀?这味道好像在哪里……”灵梦若有所思,但一时又什么都想不起来。而不知为什么,幽幽子看着灵梦。 |
「何か純粋なお酒だな。材料が全く想像つかないというか……こんなもん何処で作っているんだ?」魔理沙が質問する。紫は再び「毒は入ってないわ」と答えた。 | “总觉得是纯粹的酒呢。完全想象不出使用什么材料做的……究竟是哪里做的呢?”魔理沙问道。但是紫只是又回答了一句:“没有下毒哦。” |
実は紫が持ってきたお酒に秘密がある。そのお酒は月の都で作られたお酒だったのだ。 | 实际上,紫所带来的酒里藏着秘密。这酒乃是月之都所酿的酒。 |
亡霊には生死が無い。その事が、穢れの無い月の都と相性が良かった。幽々子は月の都にひと月ほど滞在し、誰にも怪しまれる事無く行動していたのだ。 | 亡灵无生死。因此与没有污秽的月之都非常切合。幽幽子在月之都滞留了近一月,没有被谁怀疑地行动着。 |
そして堂々とお酒を盗み出すと、次の満月の時に紫に再び月面と地上の通路を開けて貰い、地上に降りてきたのだ。 | 于是她堂而皇之地偷了酒,在下一次满月时,让紫再次开通了月亮与地上的通路,落到了地上。 |
幽々子がお酒を盗み出した理由はただ一つ。 | 幽幽子偷酒的理由只有一个。 |
月の民に喧嘩を売らずに、一度は惨敗した綿月姉妹に復讐をする為であった。 | 在不与月之民打架的情况下,对曾经使自己惨败过的绵月姐妹进行复仇。 |
千年以上も昔に月に攻め入って惨敗したのは紫なのだが、紫はそれ以降目を付けられていて目立ちすぎてしまう。 | 紫在千年以前曾经攻入月之都,最后却以惨败收场。之后,紫被人注意到了,过于引人注目。 |
だから、吸血鬼の襲撃を囮と見せかけて、さらに紫自らが囮となる二重囮作戦に出たのだ。紫さえ地上に封じてしまえば、月と地上を行き来出来る力を持つ者は居ない。これ以上に綿月姉妹を油断させる方法は無いだろう。 | 所以,这次她采用了将吸血鬼的袭击作为诱饵,同时将紫自己也作为诱饵的双重诱饵作战。以为只要将紫封印在地上,就没有人能往来于月球和地上了。没有比这个更能使绵月姐妹大意的方法了。 |
しかしながらお酒を盗む事、それが、紫が考えた第二次月面戦争の正体なのだろうか? | 然而盗酒的事情,那就是紫所考虑的第二次月面战争的真面目吗? |
「さて、月面に攻め入った時の話でも聞こうかと」 | “话说,听听你们攻入月面的故事吧。” |
紫はそう吸血鬼に言う。 | 紫这样对吸血鬼说道。 |
「そんな昔の事、忘れたねぇ。あんたは千年も昔の事を根に持っているようだけど、私は未来に生きるからね」 | “那么久以前的事,我早就忘记了。虽然你对千年前的旧事还耿耿于怀,但是我可是一心面向未来的人呢。” |
「あら、私が根に持っている? そんな事、誰が言ったのかしら」紫はにやりと笑う。 | “诶呀,我耿耿于怀?究竟是谁这么说的?”紫抿嘴一笑。 |
「あれ? 半年前に今年の冬に攻め入るとか言ってなかったっけ?」 | “诶?难道你半年前没说过会在今年冬天进攻吗?” |
「そんな昔の事、忘れました」 | “那么早以前的事情,我早就忘记了啦。” |
レミリアはクスリと笑うと、月へ行った時の事を話し始めた。 | 蕾米莉亚扑哧一笑,然后开始谈起去月球时发生的事。 |
ロケットの仕組みは殆ど理解不能な説明であったが、空中での武勇伝や月の海の色、綿月依姫との闘いに敗れた事を面白おかしく話した。 | 虽然对于火箭结构的说明几乎都不能理解,但她对于空中的英雄事迹,月海的景色,在与绵月依姬的战斗中失败这些事,都滑稽有趣地告诉了众人。 |
驚く事にレミリアは負けた事に対して特に悔しいとも思っていないようだ。最初から勝てると思っていなかったのかも知れない。何せ、紫が妖怪を総動員しても全く勝ち目がなかった事を知っていたのだから。 | 令人惊讶的是蕾米莉亚对于落败的事似乎并没有感到太遗憾。也许她一开始就没想过会赢吧。毕竟,她是知道连紫对妖怪进行总动员都没有获胜呢。 |
それなのに何故ロケットまで造って月に向かったのだろうか。 | 那为什么她还会特意制造火箭到月亮上去呢? |
紫が月に行って戦ったのはレミリアが生まれるずっと昔である。レミリアはその事が羨ましかったのかも知れない。 | 紫与月球进行战斗发生在蕾米莉亚还没有出生的久远之前。也许,她一直对此事感到羡慕吧。 |
勿論、永遠亭の面子に出会った事も大きな要因だろう。そこで現実に存在する月の都の話を聞く事となった。 | 当然,与永远亭的成员相遇也是个主要原因。她也是在那里听说了真实存在于现实的月之都的故事。 |
レミリアにとっての夢のフロンティア、それが月の都だったのだ。 | 对于蕾米莉亚而言,月之都就是她梦想的边疆吧。 |
「そうそう、今日は他にも誘ってある人が居るのよ」 | “对了对了,今天我还请了其他人哦。” |
紫がその言葉を放つと同時に、海と化した図書館に妖精メイドが入ってきた。その場にいたみんなに僅かに緊張が走った。 | 紫说出这句话的同时,化为大海的图书馆中走进了妖精女仆。在场的众人都有点紧张起来。 |
「何やら宴会に呼ばれて来たという方が来てますが……」 | “似乎是被邀请参加宴会的客人来了呢……” |
レミリアが頷くと、まもなくして二人が入ってきた。紅魔館には珍しい月の民の二人、八意永琳と蓬莱山輝夜だった。 | 蕾米莉亚点了点头,很快,进来了两个人。那是红魔馆的稀客,月之民八意永琳与蓬莱山辉夜。 |
「え? 宴会って聞いて来たのに、温水プール……?」 | “诶?听说是宴会才来的,结果是温水游泳池吗……?” |
「海よ」とレミリアが答えたと同時に霊夢が「冷水プール」と言った。 | “是海哦。”蕾米莉亚回答的同时,灵梦却说了句:“是冷水游泳池。” |
薄暗い地下にある砂浜、水、派手なパラソルにシダ植物、そして一部は水着姿で呑んでいる人間と妖怪。この光景に戸惑わない者など居ないだろう。 | 昏暗地下的沙滩,水,漂亮的太阳伞和羊齿植物,还有一部分身着泳装的人和妖怪。乍一看,恐怕没有人会不觉得疑惑吧。 |
紫は行儀良く、「お待ちしておりました」と頭を下げると、永琳は瞬時に理解し豪華なシートの上に正座した。 | 紫彬彬有礼地低头说:“正等着呢。”闻言,永琳瞬间理解了,并在豪华座席上端正地坐了下来。 |
永琳には全て判っているつもりだった。 | 永琳似乎已经洞悉了一切。 |
ある妖怪は月の都に不穏な噂を流す為に巫女を利用した。 | 某个妖怪为了在月之都散布不安的流言而利用了巫女。 |
巫女はその妖怪に言われるがまま神様を呼び出し使役した。それが許されるのは月の都にいる綿月依姫だけであった。それによって綿月姉妹は疑われ、その師匠である永琳も疑われた。これもその妖怪が仕組んだ事だ。 | 而巫女听从了那个妖怪的话叫出并使役了神明。而被允许能这么做的只有绵月依姬。因此,绵月姐妹受到了怀疑,她们的师父永琳也受到了怀疑。这些也是那个妖怪计划好的事。 |
巫女が呼び出した住吉三神の力で、三段ロケットが完成するなど誰が想像できただろうか。 | 凭借巫女召唤出的住吉三神之力,使三段火箭完成,这也是谁想象出来的吧。 |
確かに住吉三神は航海の神様で筒である。まさにアメリカが最初に月まで到達したロケット、サターンVの神様であった。 | 而且住吉三神原本就是航海之神,也是筒。正是美国初次登月所用的火箭土星Ⅴ的神明。 |
永琳が初め吸血鬼のロケットを見たとき、外の世界のロケットの本を見て吸血鬼が住吉三神に気付く訳が無いと思っていた。 | 永琳第一次见到吸血鬼的火箭时,觉得不可能是吸血鬼看了外面世界的火箭的书后注意到了住吉三神。 |
そんな事に気付ける者は、外の世界にも幻想郷にも月の都にも明るい者である必要がある。その時点で誰が裏から操っているのか永琳には明白であった。 | 能够注意到那种事的人,不管是对外面世界也好,对幻想乡也好,对月之都也好,都必须相当了解。那时候,永琳明白了有谁在暗地里操纵着。 |
巫女に神様を扱えるように稽古した人物がその人物像と一致した為、永琳は確信していた。黒幕は八雲紫であると。 | 因为让巫女练习以达到操纵神明的人和那个人的形象是一致的,所以永琳确信了。黑幕是八云紫。 |
たまたま月から兎が逃げてきたのでその兎を利用し、綿月姉妹に手紙を送った。もしその月の兎が居なければ、再び月を偽物と入れ替え、主犯だけを月に到達させないつもりでいた。ただ、それはまた幻想郷に不安をもたらす危険な方法ではあったが……。 | 利用偶尔逃出月球的兔子给绵月姐妹送信。要是没有那只月兔,她本打算再次用假货调换月亮,只让主犯不到达月亮。不过,这是又会给幻想乡带来不安的危险方法…… |
だが永琳にも不安要素があった。その黒幕の目的がいまいち不明だったのである。そこまで手の込んだ手法で月に潜入したとしても恐らく何も出来ないであろう。それだけに不気味であった。 | 不过对于永琳来说也有个不安要素。那就是这个黑幕的目的目前还不明确。即使用那么复杂的方法潜入了月球,恐怕也干不成什么吧。唯有这个让人不寒而栗。 |
そしてその黒幕が目の前に居る。紫は永琳を酒の席に呼ぶという挑発をしてきたのだ。 | 而且现在这个黑幕就摆在自己面前了。紫居然邀请永琳参加酒席,这简直是挑衅。 |
「今日はどういう風の吹き回しかしら?」 | “今天吹的是什么风啊?” |
永琳は辺りを眺めた。一ヶ月前までここは幻想郷のケープカナベラルであったが、今は差し詰め図書館の伊豆と言ったところか。 | |
「普段の労をねぎらいお酒でも、と思いまして」紫は不気味にお酒を差し出す。 | “算是用来慰劳平时辛劳的酒。”紫令人可怕地递过酒杯。 |
永琳の頭の回転は速い。だが回転の速さは時として弱点ともなる。永琳は理解できない物に対してわざとらしい余裕を見せてしまう。動揺を見せたくないのだ。 | 永琳脑子转得很快。但是转得快有时候反而是弱点。永琳对于无法理解的事物,会故意表现得很从容。这是不想让人看到动摇。 |
しかし賢い者が考えのない余裕を見せた時、その時が一番の弱点である。それは賢い者ならみんな知っている事だ。 | 但是聪明人表现出没有经过考虑的从容时,那时候却是最大的弱点。那是聪明人都知道的事实。 |
「あら、有難う」と言ってお酒を受け取った。 | “哎呀,谢谢了。”说着,永琳接过了酒。 |
「失礼ね。毒なんて入ってないわ」これはどうやら紫のギャグらしい。 | “真失礼呢。里面没有下毒哦。”这怎么看都像是紫讲的笑话。 |
「? 多少の毒は薬ですわ」 | “?稍微一些毒也是良药呢。” |
そういって、永琳はお酒を呑んだ。 | 说完,永琳喝了口酒。 |
そして彼女は固まった。 | 然后她浑身僵硬了。 |
隣では酔っ払った霊夢と輝夜が何やら話をしている。 | 一旁喝醉了的灵梦正和辉夜说着什么。 |
「月の都って、思ったより原始的ね。建物の構造とか着ている物とかさぁ」 | “月之都啊,比我想象的更原始呢。无论是建筑物的构造还是衣着。” |
輝夜は笑った。 | 辉夜笑了。 |
「そう思うでしょう? だから地上の人間はいつまでも下賤なのよ」 | “你是这么认为的吗?所以说地上人总是这么卑贱呢。” |
「どういうこと?」 | “什么意思?” |
「気温は一定で腐ることのない木の家に住み、自然に恵まれ、一定の仕事をして静かに将棋を指す……、遠い未来、もし人間の技術が進歩したらそういう生活を望むんじゃなくて?」 | “能住在气温恒定、不会腐朽的木质房屋里,受到自然的恩惠,在完成一定的工作后下下将棋……在遥远的未来,如果人类的技术进步的话也会向往这样的生活吧?” |
霊夢はお酒を呑む。 | 灵梦喝了一口酒。 |
「もっと豪華で派手な暮らしを望むと思う」 | “我觉得人类会向往更豪华阔绰的生活呢。” |
「その考えは人間が死ぬうちだけね。これから寿命は確実に延びるわ。その時はどう考えるのでしょう?」 | “这种想法也只有在人类还会死亡的时候才存在。今后人类的寿命的确将会越来越长。你认为那时候他们会怎么想?” |
「寿命を減らす技術が発達するんじゃない? 心が腐っても生き続ける事の無いように」 | “降低寿命的技术会变发达吧?心已经腐烂的话也不会想要再活下去了吧?” |
その答えに輝夜は驚き、生死が日常の幻想郷は、穢れ無き月の都とは違う事を実感した。 | 辉夜为这答案吃了一惊。这才真实感觉到了生死是寻常事的幻想乡与没有污秽的月之都本质上的区别。 |
魔理沙はレミリアと話していた。 | 魔理沙对蕾米莉亚说道: |
「いやぁ、もう月に行くのは懲り懲りだぜ」 | “哎呀,再也不要去月球了。” |
「なんで?」レミリアは首を傾げた。 | “为什么?”蕾米莉亚歪了歪头。 |
「だってさあ、帰って来られたから良いけど、あのロケット、片道ロケットじゃないか。あんなんただのミサイルだぜ?」 | “因为啊,能够回来虽然好,但那个火箭不是单行火箭吗。那个只是导弹吧?” |
「あれは、住吉三神を使ったからだめだったんだよね。行く間に二神切り離しちゃってさ。六神くらい居なきゃ帰り分の神様が足りなかった」レミリアが人差し指を上に向けてくるくる回した。どうやら六段分のロケットを表現したらしい。 | “那是因为使用了住吉三神所以不行,毕竟在前往的途中就有两神分离,而要回来的话没有六神是不行的呢。”蕾米莉亚食指朝上转来转去,似平是在表现六段型的火箭。 |
「お前は妖怪だから良いけどさ、こっちは生身の人間だぜ?もっと計算してから飛ばしてくれよな。大体、お前くらい頑丈なら、大きなミサイルに縛り付けて飛ばせば辿り着いたんじゃないのか?」 | “你是妖怪还好,我可是活生生的人类啊?多多计算之后再飞啊。说起来,如果像你这么结实的话,就算是绑在大型导弹上飞去过,不是也能到达吗?” |
「ふん。あの程度ならロケットも何も無くても飛んでいけば辿り着きそうだったね」レミリアは両手を広げて天井を見た。 | “哼。如果有那种程度,火箭什么的都不用,飞过去的话就能到了。”蕾米莉亚伸开双臂看着天花板道。 |
「その前にお前さんなら日光に当たって死ぬぜ」 | “不过在那之前,你就已经见光死了。” |
魔理沙は笑ってお酒を呑んだ。正直、月旅行はもう懲り懲りだと思った。 | 魔理沙笑着喝了口酒。老实说,已经不想再进行月球旅行了。 |
——永琳は再びお酒を呑んだ。 | ——永琳又喝了口酒。 |
間違いない。このお酒はただの労をねぎらう為に用意されたお酒ではない。くだを巻いたサラリーマンが、誰も理解できない言葉を吐きながら呑む安い焼酎なんかではない。 | 不会错的。这绝对不是什么慰劳酒,也不是说醉话的上班族边说着谁也不懂的话边喝的便宜烧酒。 |
月の都で千年以上もかけて熟成した超超古酒である。そう、永琳が月の都に居た頃から寝かせていたお酒なのだ。 | 这是月之都放了千年以上精酿的超超古酒。没错,就是永琳从在月之都时就陈酿着的酒。 |
「こ、このお酒は……?」永琳は明らかに動揺した。考えのない余裕を見せた瞬間、つまり弱点を狙われてしまったからだ。 | “这、这酒……?”永琳很明显动摇了。在表现出没有经过考虑的从容的瞬间,弱点也被发现了。 |
永琳がこのお酒の味を忘れる事はない。穢れの多い地上では味が変わってしまい作り出せない純粋さ、そして何年も寝かせたであろう奥深さ。 | 永琳不可能忘记这种酒的味道。这种在满处污秽的地上酿造的话味道只会改变,不可能酿造出来的纯粹感,还有多少年陈酿着才有的悠远感。 |
「貴方も故郷を離れて千何百年か。そろそろ望郷の念に駆られる頃だろうと思いまして、月の都をイメージしたお酒の席を用意致しました」 | “你离开故乡也有一千几百年了吧。差不多也应该开始有思乡之情了呢,所以我准备了让人想到月之都的酒席。” |
紫はにやりと笑った。 | 紫抿嘴一笑。 |
その笑顔は永琳の心の奥深くに刻まれ、忘れる事の出来ない不気味さをもたらした。死ぬ事のない者へ与える、生きる事を意味する悩み。正体の判らない者への恐怖。 | 这笑容深深地印在了永琳的心底,带来了不可能忘却的恐惧感。给予不死者的,意味着生的烦恼。对于不知底细者的恐惧。 |
それが八雲紫の考えた第二次月面戦争の正体だった。 | 这才是八云紫所计划的第二次月面战争的真面目。 |
注释
- ↑ 这里用了现在时。
- ↑ 美国航空工业所在地。参见东方儚月抄 ~ Silent Sinner in Blue./第十话
- ↑ 日本的旅游度假胜地
< | 第七话 | 东方儚月抄 | 后记 | > |