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东方外来韦编/2026/锦上京访谈
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- 该内容于杂志中页数:020-023
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東方錦上京ZUNインタビュー | 东方锦上京ZUN访谈 | |
通し番号20作目となる「錦上京」は、 現代社会とゲームがエンタメとして結びつきながら 東方という味付けによって進化を遂げた シリーズを通して見ても稀に見る怪作であった。 全体像と、各キャラそして創作について いつもより深めに語られているかもしれない。 | ||
聞き手=編集部 | 采访者=编辑部 |
「錦上京」と創作論 | ||
—— | ZUNさんはある時以降からの自分の作品を「日記のようなもの」と言ってきましたが、今回は日記要素も大きいけれど、気負いも大きかったのでは? | |
ZUN | 今回は頑張りました。気負いもあったと思います。ただ20作品目だからというのではなく、直近の「獣王園」が外伝的な立ち位置なので、本筋の「虹龍洞」からだいぶ時間が経っているんです。だから「東方とはこうである」っていうのをしっかり見せられる作品にしないといけないと思っていました。 | |
—— | まったく予定してなかったのですが、いまこの時に話を聞かなければとなり「外来葦編」を作ることにしました。 | |
ZUN | ンフフ(笑)。今回は単純に考えるための時間があったんです。「獣王園」はファンサービス的な立ち位置なんですが、じゃあなぜサービス作品を作ったかというと、次は大きいものを作りたいからそのために軽いものを挟んだ。いやぜんぜん作業量的には軽くないんですけど。やっぱり普段から次はどういうものを作ろうかと考え続けている中で、システムの事やストーリーを考えてるわけでは無くて、とにかくいろいろなことへの考えをため込み続けてました。で、ため込むといいのができるんです。 | |
—— | なるほど? | |
ZUN | 今回は東方の本質とは何かを考える時間があったんですね。いろいろな要素がうまくはまった、みたいに言ってもらえる本作ですが、それまでずっと頭の中にピースを増やして材料を揃えて行って、制作中に偶然はまった、みたいな形です。まあ最終的には気合ですかね。途中まではどうなるかわからない状態で作っていましたから。 | |
—— | ネタの一部に故郷の伝承を入れていたのも、気合の表れなんです? | |
ZUN | 作品のテーマの一つに長野があるんだけど、わかりやすい構図ではないですよね。僕がひねくれてるところなんだけど、「こういうテーマの作品です」って作ったゲームはあまり面白くならない事が多い気がしていて、それよりも「そのテーマがこんな風に使われてるの!?」ってなってる作品のほうが面白いんじゃないかなと。そして、そういうふうにテーマと作品を結びつけるのが作家の役目なんじゃないかと思っているんです。 | |
—— | おっしゃる通りで。 | |
ZUN | 甲賀三郎伝説からいただいている内容ですけど、普通にこれをテーマにしようとしたら、丁寧に説明したり紹介しちゃう。でもそれをやるのは東方ではないなと。全然違うものに結び付けたいんですよね。 | |
長野にはピラミッド伝説もいっぱいあってですね。子供の頃にそういう都市伝説が流行りましたよね。山は実は人工物、つまりピラミッドだし、そこにUFOもくるんだ、みたいな。あれが大好きでね。日本の山は人口の山ってことにしたくなっちゃう(笑)。まあそういう好きなものをいろいろ入れこんでいって作られました。 | ||
—— | ありましたね、そういうの。しかも浅間山も関係してくる。 | |
ZUN | あれは結果的にですね。最初からこうと決めてないので、何がどうなるかはわからなかった。最後どうなるかはどうでもいいから、作り始めると一応完成に辿り着いちゃう。ただ勘違いしたらいけないのは、そこに至るまでにはずっと考え続けてるわけです、どうしようかな、どうしたらいいかなって。まあそういう古い伝承と最新のテクノロジーの話を結びつけて、みんなに見てもらえたらなって。今回テーマにAIが全面的に入っていますけど、いろいろな場所でAIの話を出すたびに「AIは炎上する」って言われるわけですよ。でもそれを見ると「これはテーマにいれなきゃな」って。そういうのを無視し続けて、たとえばすっかりAIが容認されるような世界になったり、あるいは法律でガチガチに規制されるようになってからテーマとして使うのは僕の中ではダサいんです。今の盛り上がってるタイミングで自分なりのメッセージを入れた作品を出さないと、現在に目を向けてない事になっちゃう。で、出した答えがこれなんですけど(笑)。そもそも「錦上京」っていう名前がですね、みんなが作ってきたものの上に成り立っている都(みやこ)、AIはみんながつくってきたデータを拾ってよさげなものを出してる、っていう言い方をしたかったんですよ。逆に言えば、すごくいいものの裏というか土台には、みんなのがんばりがあるわけです。最初のタイトル画面からして、下にあるものの上に都がある見た目になってるわけですからね。でも勘違いしちゃいけないのは「下側のものが錦」なんです。大事なものは下にある。そして、そこを尊重しない人たちは上手くいかないぞ、と。そういうものをぜんぶひっくるめての今作なんです。 | |
—— | たしかに。 | |
ZUN | 今回は東方を知らない人は、見ても意味がわからないかもしれない。こういうと嘘っぽいけど、僕自身も最後の最後までどういうストーリーになるかは分かってないんです、毎回ね。今回もそう。頭の中にはいろいろなことが渦巻いていて、軸はきっとあるんだけど、作っていくタイミングで変わっていくんですよね。絵を描いたタイミングや音楽を書いたタイミングで。 | |
たとえばキャラだったら「こういう感じのキャラにしよう」はあっても、それは固定された何かじゃないから変わっちゃうんです。で、その前提の「こういう感じ」すら変化していっちゃう。だから僕自身もワクワクして作っています。僕も作ることを楽しみたいから、どうなっていくかわからないものを作るのは楽しい。でも、そこに至るまでが長いんです。それだけいろいろと調べて、考えをため込んでおくと、思わぬ部分が繋がっていったりして、結果として最初からこうするつもりだったんじゃない?ってものになったりする。 | ||
—— | なるほど。 | |
ZUN | ただ、たとえば漫画やゲームで「伏線」ってあるじゃないですか。あれが僕は好きじゃないんですよ。伏線を用意するってことは、つまり最初から全部決めておかなければいけないわけじゃないですか。そういう作品は良い作品になることはあるかもしれないけど、想像の範囲内で小さくまとまってしまうと思っているんです。だから、結果として伏線になるかもしれないようないろいろなアイデアはあっても、作ってる途中で変わってもいい、と思いながら制作を進めています。今回もかなりそういう事があって、1面を作る時も2面を作る時も、その時その時で一番盛り上がる場面にするくらいのつもりで作ってる。で、次の、例えば3面を作る時はさらに変わっていって、みたいなね。時にはキャラのモチーフさえ変えてもいいかもしれない。……いや、そこを変えると破綻しかねないけど(笑)。まあ、東方はそういう作り方なんです。今回はとくに紆余曲折を経た結果、エンディングも全パターン作ることになったりしたしね。 | |
—— | え?(笑) | |
ZUN | あんなにエンディングを作る予定はまったく無かったんです。でも、キャラが作中であまりにもあちこちに動いていったものだから、これは作りたいな、作らざるを得ないなと。でも作ることによって、キャラたちが何をやって来たかが僕の中でも明確になっていったんです。 | |
—— | 「輝針城」くらいからずっとAIとの戦いという話をされてきました。 | |
ZUN | まあAIが来る!っていう時代だったけど、早すぎたかもしれないね。ようやくみんながイメージできるようになってきたかもしれないけど、それがどう伝わってるかなんです。怖いものだとか、新しいものだとか。でも知ってるのは、単に技術の結晶体、優れた技術でしかないんです。それが世界を変えるとしたら怖いけど、科学だってこの世界の事を解き明かせてないわけで、AIが宇宙を破壊したり新世界を作ったりはまだまだ遠い話ですよ。 | |
—— | 今回一区切りとなるような作品だったわけですが、今後どう考えてるかおうかがいできますか。 | |
ZUN | 無限に作り続けるつもりはないので、いつ終わってもいいという感覚で作っているわけです。「紺珠伝」あたりからつづく内容の総まとめみたいなところを詰め込んだ内容になっていましたが、実際の世の中が不安定ですからね。社会が変わるタイミングですから。たぶん次に作る時はもっとユルいやつを作ると思います(笑)。 | |
僕は古典的なものは好きだけど、同じことの繰り返しや定番が嫌いなんです。今回のテーマで言えば「恒久」ではダメなんですよ。昔は「永遠」とかを敵にしたような内容の作品を作ったりもしましたが、もう使った言葉なので今回は「恒久」をそこに据えて……そういうの東方では多いなあ(笑)。変化を好んで、しないのを拒否する。 | ||
東方には全体のストーリーが無いところがいいと思っていて、現実ありきで作っているからね、僕の中では現実とゲームは結び付いていますよ。現実がどうなるかわからないから、ゲームもどうなるかわからない(笑)。フィクションはノンフィクションありきです。そこが面白いんだし、そこがない作られた世界は面白くないと思うんですよね。それは技術とかそういう話とかではなくてさ。AIが作るものが面白くないというのはそういう事で、今回「錦上京」を作っていてその事に気付きました。 | ||
もっと面白くするためには、自分が物を作っていくための意欲を出し続けていきたいですよね。いまさら別の作品を作りたいとかも無いので、ずっと東方を作り続けていくんだろうなという悟りに達しつつあります。なんなら「秘封」もそのつもりだったんですが、もはや同じですからね。2軒目ラジオとかもそう、なにをやっても東方になる。しょうがないよもう(笑)。 | ||
少し前からうすうす気づいていたこととして、一人でいろいろな事をやるのがいいことでは無いなと。僕は周りの人からはいろいろな事を一人でやる人のように言われますが、いろいろなタスクや仕事はしているけど、全部「東方のこと」しかしていないんです。悪い意味で言うわけじゃないけど、職人になりたくないと思いながら東方職人になってるなって思っています。なりたいと思って職人になるのではなく、結果そうなるのが重要なのだなと感じています。技術を学ぶのではなく、学んだ結果が技術になっていくんです。 |
登場キャラクターについて | 关于登场角色 | |
〔塵塚ウバメ〕 | 〔尘塚姥芽〕 | |
—— | 能力は「聖域を壊す」ということですが? | |
ZUN | 謎ですよね(笑)。山姥は謎だし聖域も謎……だったんです。今回はそのあたりが少し見せられた。なんなら山姥は聖域に関わってないんです。聖域っていう言い方は月の都の言い方で、山姥はその呼び名が嫌いな人たちの集まりなんです。 | |
—— | そこも月の都案件? | |
ZUN | そのかわり誰にも会わなくていい。人と会わないのが幸せな種族たちなんです、山姥。そういう山姥を守っているのがウバメなんですね。衣装はあちこちが切れてるような、ボロボロだけどおしゃれ、というイメージです。 | |
〔封獣チミ〕 | 〔封兽魑魅〕 | |
ZUN | 魑魅魍魎のチミです。デザインは謎です(笑)。古くから居るキャラなのでちょっと変わった感じにしたかったんです。 | |
—— | 時間が止まったことを「よくあること」って言ってますが。 | |
ZUN | ユイマンのことだけじゃなくて、昔からそういうことがあったのかもねって。チミからすると、なんてことのない変化だってことを表わす言い方です。チミも月の都と同じように悠久の時間を持っていて、それらからしたら「大したことは起こっていない」っていう、ストーリー上の腹立たしい部分が出ている。事態をなにもわかってない年寄りが「よくあることだよ」って言うみたいな、ね。聖域とか関係なく、そういう存在も居るよって。「森にはお化けがいるよ」って(笑)。 | |
〔道神馴子〕 | 〔道神驯子〕 | |
ZUN | 道祖神は小さなころから身近で、その印象のままの、けしてアカデミックなものではない道祖神キャラをピラミッドに配置したかったですよね。ピラミッドと都市伝説、陰謀論をどう活かすか、というところが作品制作の根っこの一つにあったんです。ピラミッドときたら宇宙だよね、とか。 | |
—— | ピラミッドと言えば「世界ふしぎ発見」だと? | |
ZUN | 馴子はそれらの究極形態みたいなもんです(笑)。「それではクエスチョンです」ってやりたいよね。旅人になぞ解きを仕掛けたい。とにかく東方にピラミッドをどう組み込むかが先にあって、その結果生まれた。もともと考えていたタイトルも「金字塔」の「金」から取るつもりでいて、そこもピラミッドをイメージしていたんです。都市伝説の究極は「長野にピラミッドがある」、そういう子供のころから聞いていた話を組み込みたかったんです。もちろん陰謀論が間違ってる、いや最高だ、みたいな話はやりたくなくて、見た事のない新しい陰謀論をやりたかったんです。陰謀論を肯定する人も否定する人も笑ってしまうような作品をね。作ってるものがファンタジーでもあり、ファンタジーだからこそ現実に活かされる。ファンタジーだから生活も豊かに幸せになる。ファンタジーもリアルじゃなきゃいけない、っていうのが僕の中にあるんです。 | |
〔ユイマン・浅間〕 | 〔维缦·浅间〕 | |
—— | ユイマンなのかノイマンなのかパイソンなのか……。 | |
ZUN | そういう要素を混ぜたつもりはなかったんですが、たぶん東方以外で出てきにくいキャラかなと。絵で一番難航したキャラなのは間違いないです。「変わらないもの」の阿梨夜とAIを登場させることが先にあったので、あとから生まれました。甲賀三郎伝説から持ってくるか〜って。ちょうどいいとこに生まれてしまった被害者ですね。ほかにもネタはいっぱいあったけど、甲賀三郎伝説は諏訪ともつながるし、かなりたまたまの登場という意味でもかなりの被害者です(笑)。 | |
—— | 気合を入れる作品だから故郷の伝説からモチーフを、ということではなく。 | |
ZUN | 石長比売と浅間山も繋がるから、いろいろなものが結果的に繋がっていってしまったんです。僕の意思とかではなく。そういう意味ではユイマンは「作らなければいけない」キャラだったのかもしれない。だから別に維縵国の話をしたいわけでは全くなく、蓄積の中からぽろっと出てきた。他のキャラもそうだけど、こういうストーリーにしようみたいに決めてキャラを作ることはなくて、勝手に湧いて出てくる感じなんです。そういう何が起こるかわからない感じを僕自身も楽しんでいます。10作目の「風神録」が諏訪の話で、20作目の「錦上京」が、また別の諏訪の話っていうのもいいかなとは思いましたね。 | |
〔綿月豊姫〕 | 〔绵月丰姬〕 | |
ZUN | 月の都が関わってる異変でした、というのをどこかでネタばらししなければいけなかったからね。そして海と山をつなぐっていう能力がピッタりだったわけです。だからあそこで豊姫が出てこないといけなかった。あとは、ここで新しく別の月のキャラを出すと説明が長くなっちゃうので、月の都の人だってわかる既存キャラに出てもらっています。 | |
—— | 出せるキャラが限られてましたね。 | |
ZUN | ピラミッドの迷宮を地下に潜っていった先には海がある、っていいなと思ったんですよね。でもよく考えたら「剛欲異聞」でも同じことをやってる(笑)。あっちは血の海でちょっと気持ちのいいものではないけど、今回はキレイな青い海です。地下に広い空間がある、というのがロマンがあっていいよね。 | |
—— | ゲームで戦う日が来るとは。 | |
ZUN | 通常弾も難しいですし、スペルカードも気が付くと詰まされるのでボムを使ってくださいゾーンなんですよね。体験版の時から、今回はちょっと難しいっていう感想が出てましたけれど、そりゃあ月の都関係だから難しくなっちゃうよなあって思いながら作っていました。難しい弾幕は作るのが楽しいですね。 | |
漫画の時にどんなキャラだったかは割と忘れたので、気にせず今作の登場キャラとして作っています。音楽はどういう風に作ったか覚えていたので、その記憶を頼りに脳コピで書きました。まあ元の曲が漫画の付録でしか聴けない独特な曲でしたが、いい感じに軽やかにアレンジできたと思います。必死感が無いというかね。様式美で戦ってるからさ。戦ってからじゃないと会話できない(笑)。 | ||
—— | せ、戦闘民族…(笑)。 | |
ZUN | 敵じゃない相手と戦う場合って、だいたい勘違いから始まるけど、そういうのは白々しくてやだなあって。それよりは言い訳せずに問答無用で戦う(笑)。 | |
—— | そういえば、キャラ絵に乗ってる描き文字もだんだん楽しんで描いてませんか? | |
ZUN | 決め台詞とかに多いんだけど、セリフで言うよりもさらに顔に近いから性格を出しやすいんですよね。!とか♪みたいな記号を描くのと同じ感覚で書いています。豊姫のキャラ絵は前に自分が描いたやつを見て描くかと思ってたんです。でも、漫画に出るキャラクターはゴテゴテしすぎると実際に作画をする漫画家さんに負担がかかるから、シンプルにするようにしてるんですよね。そこから加えていく分には漫画家さんの自由にしていいですよって。でも今回そのままだと他のキャラとまったくバランスが取れないから、いっぱい描き足しました(笑)。 | |
—— | そんなことが。 | |
ZUN | 既存キャラを出すのはゲームだとなかなかないから、いろいろ改めて考える機会になってよかったです。悪役の美学とかね。どうやったら魅力的な悪役になるかをいろいろと考えて作ったキャラでもあります。ただただ悪いだけのヤツを倒しても全然楽しくないからね。「誰だこいつ?」ってなるのだけは心配でしたが(笑)。 | |
〔磐永阿梨夜〕 | 〔磐永阿梨夜〕 | |
ZUN | 今回は不思議なピラミッドを降りて行った結果、いろいろある。神社も月なのかもしれないし別の場所かもしれないし、もうどこまでが真実なのかよくわからない。映像の体験だけは本当だけど、実際の所は何をやっているのかわからないのが東方なのかなと。 | |
—— | でもそれがゲームということかも。 | |
ZUN | アニメや漫画ではなくてゲームでしかできない事は体験なんです。自分で操作して動かせる部分は本当のこと。それ以外はゲームにあわせて作られた幻想だから、プレイヤーの主体性を大事にしたいんです。そうしないとアニメや映画になってしまうかもしれないしね。そういうゲーム制作者なら考える事を考え続けて、今の東方の考え方ができていっている。シューティングゲームであれば弾を撃って点を稼ぐけど、そこが本質だと魅力が足りないかなと思う。そこの部分をもっと活かす方法が、きっとある。プレイヤーが人間であること、人間が喜ぶことをもっと入れていけば楽しくなる。プレイヤーが避けることとか、弾幕に名前を付けることとかね。それは「紅魔郷」の頃に考えたことだけど、そこからずっと考え続けて今に至るわけですよね。ラスボスはどういうキャラがいいんだろうとか。 | |
—— | ラスボスは難しいですか。 | |
ZUN | そもそもボスとはなんぞやを考えないとだからね。ゲームを終わらせるとはなにか、とか。個人的には「完全な悪」を倒して終わりみたいなのが苦手で、ゲームで「こいつは倒さなきゃいけないんだ!」とか言われても「そうかな?」と思っちゃう。余裕がない感じがいやなのかな。ノリで戦って、ごめんってなってもいいと思うし、悪と戦うよりも手を結ぶ方がかっこいいじゃん? | |
—— | 阿梨夜は阿頼耶識から、という話がありました。 | |
ZUN | AIがどんどん新しいものを作っていくようになっても、それはあくまで表面をなぞるだけのものだから、人間の奥底の無意識には全く響いていない、変わらないというのをキャラにしていったんです。去年はAIの話題が多くて、そういうタイミングでAIと関係のある作品を出したいとずっと思っていたんですよね。AIはいままでみんなが作ってきた文化をきっと壊す。文化はもちろん大切だし、それらを保護するためには法律とかいろいろ整備が必要だけど、壊すのはもうしょうがないから新しい文化を生むしかないんじゃないかなって。人間の仕事が無くなることも表面上の問題で、AIでも同じことをできるかもしれないけれど人間が「この人がやったら魅力的になるものは何か」を考えて、そのずっと奥底にある不変の、無意識に近い部分をラスボスとして出そうとしたんです。意思=石で、変わらないだろうって。今回のストーリーで言えば「外の世界のAIが、意識しなくても良かった筈の恒久の意思を目覚めさせた」わけですね。 | |
—— | なるほど。 | |
ZUN | だから人間は思った以上に、絵や音やテキストを感じるだけじゃなくて、違う感覚を持っていることに気付くし、リアルってすごい、酒を飲むってすごい、って大切に思わなければいけないんです。まあ今読んでる本もちょうどそういう本でね――(※編注:ジャッキー・ヒギンズ「人間には12の感覚がある」)、人間は身体を持ってることが圧倒的なアドバンテージで、AIは真似できてもそれが人間には響かないんじゃないかと思ってます。阿梨夜については、古くから変わらないこと、人間とはこうである、という存在を対峙させたかったんですよね。AIに対して石の意思を……。 | |
—— | (笑) | |
ZUN | この辺は伝わりにくいよね(笑)。まあ石っていいよね。削れたりはするけど、存在として変わらないなって。気づいてます? 阿梨夜が持ってるのも石仮面ですからね。ちゃんと元の絵を参考にしながら……あそこにエイジャの赤石を嵌めるんだろうなと思いながら…。 | |
—— | (笑)。あの仮面は一体化してるんですか? | |
ZUN | あくまで醜さを隠すイメージなので、そうでもないです。醜いかどうかだってわからないというか、そこは記号であって重要じゃあないし。あいつは被害者なのか? ストーリーの立ち位置はかなり不思議です。なぜ戦うんだろう感がなくはない。けど倒してくれないと始まらない、と思ってる。それは世界に対する悲壮感なんですよね。ゲームで世界に対する悲壮感を持ったキャラ、だいたい世界そのものを消そうとするけど、そうじゃないだろって。僕のゲーム観で言うと悲壮感がある敵はいいやつ。 | |
—— | 悲壮感。 | |
ZUN | 自分がかわいそうとか、世界が悪いとかでもなく、世界に対して達観していて「この世界はいくらやっても変わらない」と思ってて、今のままでもいいし変わってもいい。それが「恒久」なんです。永久よりもさらに先にある。変化しようがしまいが、常に在る。月の人たちは永遠を求めてるから、恒久は永遠の先を行くものなんです。もちろん東方の世界観の話でね? | |
〔渡里ニナ〕 | 〔渡里贝子〕 | |
僕のやりたい放題。なんならあのゲームはこれがやりたかったんだくらいはある。 | ||
—— | おまけがメインディッシュ。 | |
ZUN | 重たかった話をちゃんと中和してくれるからね。いろんなことがあったけど「つまりこいういうことでしょ?」と陰謀論を出す(笑)。でもよく見ていくと、それまでのメインストーリーの方が陰謀論ぽさが強いわけです。それを要約するとこういう事かな?ってざっくり説明してわかりやすくしてくれる役回りです。「ネットで見ました〜」みたいな感じですよね。弾幕もそうしたかったから陰謀論ネタの嵐なんだけど、選択がデリケートというか、笑えるやつじゃないといけないわけです。楽しい作品を作りたくて作ってるわけだから、バランスは意識しないとですね。幻を生むから蜃気楼を作りたいし、化石化した地下の層から貝が生まれるのも必然的でいいよね。 | |
—— | パンチのあるキャラでした。 | |
ZUN | 制作の最後の最後に生まれたキャラなんです。これまでの蓄積のお陰ですね。東方では都市伝説ネタも多かったし陰謀論もオカルトもよくあるから、なんでもできちゃいますよね。生まれたばかりの妖怪だから、生まれたばかりの絵のポーズをとらせて…服は着せるけど(笑)。作ってる人間とユーザーとのライブ感が感じられるキャラかもしれませんね。考え抜いた末に出来たキャラじゃないからこその、ライブ感。 |